第23章 予定外のデート/沖矢
(予定外のデート)
「お姉さん、今暇してる?」
駅の改札を出たところで若い二人組の男性に声を掛けられた。
「いえ、忙しいですけど。」
分かりやすいナンパだ。
「そんなこと言わないでさーお茶奢るから俺らと遊びに行かない?」
「行かないです。」
こういう輩にはキッパリ断るのがいいと聞いたことがある。
「いいじゃーん、俺らいい店知ってるんだって!一緒に行こうよー。」
「結構です。」
しかしこいつら意外としつこい。何度断っても食い下がってくる。
しまいには両側から肩を組もうとしてきた。
こういう時に限って荷物が多く、その場から逃げ出そうにも素早く動くことができない。
仕方がない、恥ずかしいからあまりやりたくはないのだが最終手段として大声を出すしか…。
息を吸い込んだその時。
「すみません、待ちましたか?」
聞こえてきた声に耳を疑った。私はここで待ち合わせなどしていないからだ。
しかし都合のいいことにこの二人組の男性達は勘違いしたらしい。
「んだよ、男連れかよ。」
「だったら最初から言えっつーの。」
悪態をつきながらも彼らは場を離れていった。
さて新たな問題は私に声をかけてきた人だ。
「あの、人違いではないですか?…って、昴さん!」
振り返って驚いた。
そこに立っていたのは昴さんで。私が思わず上げた大きな声に、向こうも少なからず驚いたようだった。