第22章 それは2人だけの秘密/コナン
「いらっしゃい、どうぞ上がって。」
学校帰りにそのまま寄ってくれたらしいコナンくんはランドセルを片手に持っていた。
「ココアもあるけど、新一くんはコーヒーの方がいいかな?」
ソファへと促して自分はキッチンへ。
軽くカマをかけてみれば、ひどく慌てた様子のコナンくんがいた。
「うん、俺はコーヒー…って嫌だなあ、僕コナンだよ?」
「あはは、ごめんごめん。ちょうど昨日蘭ちゃんから新一くんの話聞いてたとこでさ。」
笑いながらコーヒーのカップを2つ持ってコナンくんの隣に腰を下ろした。
「ふうん、新一兄ちゃんのこと?」
首を傾げるコナンくんの様子はとても元17歳の男子高校生には見えない。
一口飲んだカップをテーブルに置いて、彼と向かい合うように体の向きを変えた。
「ね、本当はキミ、新一くんでしょ?」
しばしの沈黙。窓の外を女子高生達が楽しそうにお喋りしながら通って行った。
それとは対照的に、目の前の彼は深く溜息を吐くとぐしゃりと前髪を書き上げた。
「いつから気付いたんですか?」
「ホームズ展に行った日、かな。あの日コナンくん、途中で蘭ちゃんに電話したでしょ?その蝶ネクタイ使って。」
「ああ、見られてたんですねあれ。でもそれだけでよく工藤新一が子供になってるって分かりましたね。SFじゃあるまいし、普通想像もつきませんよね。」
「ああそれは、」
言いかけて思い出した。
「APTX4869のことはくれぐれも口外するんじゃねえぞ。資料を他人に見せるなんて以ての外だ。」
そう、耳にタコができるほどジンに口酸っぱく言われたのだ。
「それは…何ですか?」