第21章 探偵、美術館へ行く/沖矢、コナン
「やっぱり2人と来てよかったよ!こんなにホームズの話出来たの僕初めて!」
美術館からの帰り道。
両手に大きな土産袋を抱えたコナンくんはほくほく顔で車に乗り込んだ。
毛利のおじさんや蘭姉ちゃんだとこうはいかないし!と興奮冷めやらぬ様子だ。
「トリックの再現はなかなか上手く出来ていましたね。よくあそこまで上手くセットを作れたものだ。」
「VRも、本当にホームズと並んで歩いてるみたいだったよね!」
首都高を走る車の中で口々に感想を述べる。
トリックの再現コーナーでそれぞれの解釈を論じるのは新しい発見もあって非常に楽しかった。ディープな会話に周りの客達が遠巻きにしていたのを感じたがつい熱くなってしまった。
VRコーナーでは偶然会った園子ちゃんに取り計らってもらい、長蛇の列を横目に優先的に体験をさせてもらったし、コナンくんも楽しみにしていた緋色の研究の初版本の展示では、しばらくその場を動けなくなったほど感動した。
そしてホームズに挑戦!と謳われた謎解きコーナーでは3人で協力して最高得点を叩き出した。
記念に、と渡されたメダルのストラップは今それぞれの携帯電話にぶら下がっている。
「でもやっぱり今日のMVPはコナンくんかな!コナンくんがいなかったらあの謎解けなかったよきっと。…本当、小学生とは思えない。」
そんな事ないよーと助手席で笑うコナンくん。そんな彼とは対照的に厳しい顔をした昴さんとバックミラー越しに目が合う。
その鋭い視線に銀髪の彼の顔がちらりと過ぎった。