第19章 健康診断/少年探偵団
「…おい、待てよ灰原っ!」
生徒玄関の手前で、今にも内履きのまま外に飛び出そうとする灰原の手首を掴む。
「ちょっと、待てって!」
「離して!あなたは分かってないのよ組織の力を!私やあなた、それにあの3人を消すくらい造作もないのよ!?」
俺の手を振り解こうとする灰原の手に力がこもる。
小さく息を吐いて、小さく震えるその肩に手を置いた。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し、ってな。過剰反応し過ぎるとかえって怪しまれるぜ。向こうは多分気づいてねーんだから、気にしないように自然にしてろよ。」
反論しようと灰原が口を開くのが見えたが、気にせずそのまま続ける。
「俺にはさくらさんが悪い人には思えねーんだよ。」
「彼女がシャーロキアンだからっていうの?バッカみたい。」
「いやそれだけじゃねーけど…。」
話すと長くなるぜ、と口ごもると灰原は小さく溜息を吐いた。
「…まあいいわ。今回はあなたのその探偵の勘とやらを信じてあげる。でも忘れないで、あなたと私は一連托生。どちらかがバレたら終わりなのよ。」
ひらりと手を振って灰原は教室へ戻っていった。円谷くんに謝らなきゃね、と言い残して。
残されたコナンは一人、頭を掻いた。
「探偵も、人を信じてみてーときがあるんだよ。」