第19章 健康診断/少年探偵団
(健康診断)
「なー灰原、ちょっと聞きてーんだけど」
クラスメイトの楽しそうに騒いでいる様子を横目で見ながら、コナンは対照的に退屈そうに隣に座る灰原に声をかけた。
3時間目の体育の時間。クラスメイトがドッヂボールに興じる中、病み上がりである2人は体育館の隅で見学を余儀なくされていた。
「組織にいた頃”ギムレット”ってコードネーム、聞いたことあっか?」
「ギムレット?」
灰原は訝しげに片眉を上げる。
「聞いたことないわね。ていうか、それ組織のコードネームじゃないんじゃないの?ギムレットって確かカクテルの名前じゃなかった?」
「いや俺もそう思うんだけど…あの会話がなんかひっかかるんだよなー」
先日コナンは安室透ことバーボンの車に乗せてもらった時に、彼の目を盗んで助手席の下にこっそり盗聴器を仕掛けることに成功していた。
コナンを降ろした後にどうやら彼はベルモットを助手席に乗せたらしい。
その2人の会話の中で頻繁に”ギムレット”という単語が出てきたのだ。どう聞いても人名としての扱いで。
しかし残念なことにこの日は盗聴器の調子が良くなかったらしく、この時の会話はあまり明瞭には聞き取れてはいない。
「ちょっとあなた、またヤバいところまで首突っ込んでるんじゃないでしょうね。」
「大丈夫だって、さくらさんからは嫌な感じしねーし、」
「おーいコナン!ボール取ってくれよ!」
灰原がコナンを非難しようとしたその時、クラスメイトの投げたボールが近くに転がってきて会話はそこで中断された。