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[名探偵コナン]マティーニにお砂糖を

第18章 人助け2/ジン


「もう普通の生活に戻っていいんだな?」
ジンは咥えた煙草に火を点けた。
因みにあれほど煙草を吸うなと言っておいたのだが、寝室はジンは目が覚めたその日に煙でいっぱいになっていた。あの時のウォッカのすまなそうな顔は未だにありありと思い出せる。

「ずっと寝たきりで筋力かなり落ちてるはずだから気を付けてね。」
「ハッ、誰に物言ってやがる。」
それもそうか、とテレビの脇の引き出しを開けると煙草を取り出す。
テーブルの上に置かれたジンのマッチを1本貰い、ゆっくり煙を吐き出すとジンと目があった。

「どうかした?」
「煙草、吸うんだな。」
ジンの視線が私の右手に移動する。その手を少し掲げてみせる。
「ああ、これ。たまにね。こんな大仕事の後とか気分転換に丁度いいのよね。あれ、もしかして煙草吸う女性は嫌い?」
「…いや、少し意外だっただけだ。」
「そう?」

そこで会話が途切れる。
お互いの煙を吐く息遣いだけが部屋に響いていた。
どことなくその沈黙に居心地の悪さを感じ何か話さなければ、と口を開こうとした時だった。

「兄貴!準備できましたぜ!」
玄関の方からウォッカの大声が飛んで来た。
腹の傷なんて無いかのようななめらかな動作でジンはソファから立ち上がる。
「ま、今回は助かったぜ。流石にちっとヤバかったみてぇだからな。」
また頼むぜ、とコートの裾を翻して去っていった。


そのコートを見て思い出した。
私が切り刻んじゃったコート、弁償するって言ったの覚えてるだろうか。
ジンのことだから女から金は取らねぇ、とか言いそうだけど。




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