第17章 勘違い事件簿/安室
安室さんのバイトが終わるまでポアロで待たせてもらう。
雑誌をパラパラと捲っていると、聞き慣れた声が聞こえた。
「さくら姉ちゃん、僕も一緒に行ってもいーい?」
雑誌から顔を上げるとランドセルを背負ったままのコナンくんが立っていた。
「安室さんとストーカーの調査に行くんでしょ?僕も行きたいなあ!」
「え?うーん、楽しくはないと思うよ?」
「僕今日一緒に遊ぶ友達がいなくて暇なんだ!ね、いいでしょ?」
「じゃあ毛利さんと蘭ちゃんにちゃんと伝えて来るんだよ。安室さんのバイトが終わるまでここに居るから、先にランドセル置いてきたら?」
はーい、とお手本のような返事をしてコナンくんは階段を昇って行った。
入れ替わるように、安室さんがコーヒーのお替わりを持って来てくれた。
そのエプロンの裾を引いて引き留める。
「あの、どういうつもりなんですか?私と知り合いなのバレると都合悪いんじゃ…。」
「いえ問題ないですよ。僕らテニスコートで会ったことになってますし。あ、でもコナンくんは勘がいいから、あんまり彼に余計な事は言わない方がいいですね。」
「え、それってどういう…」
言いかけたところで少年特有の高い声が聞こえた。
「安室さん、僕にもコーヒーもらえる?」