第15章 コナンくんと灰原さん
そう言いながら灰原は嫌な汗が背中を伝うのを感じていた。
工藤新一が生きていると組織に知れたら、使用者リストの安否欄を書き換えたのが私であることなどすぐにばれてしまう。
また、工藤新一=江戸川コナンだと知れれば少年探偵団のみんなにも危害が及ぶのは時間の問題だ。
『大丈夫じゃねーか?』
しかし電話口から聞こえた声はやや能天気なものだ。
『もしさくらさんが組織に伝えてたとしたらもう俺はここにいねーよ。』
「でも…。」
『あれは1週間以上前の話だぜ?お前の知ってる組織はもっと早く手を回すだろ?』
彼の言うことも一理ある。
あの組織ならばもう動き出していてもおかしくはない。
それが無いということは思い過ごしか…。
『ま、いずれにせよ今のところは組織に俺らの事は伝わってないとみて間違い無いだろうから。俺も一応さくらさんのことは注意しておくよ。』
そう言って電話は切れた。
携帯電話をベッドの上に放り投げる。
なるようになるしかないか、と頭を振った。
何より前回会った時も今日のお祭りも、彼女からは嫌な雰囲気がしなかったのだから。
「お姉ちゃんのこと、久しぶりに思い出しちゃったな。」
手帳の間から1枚の写真を取り出した。
唯一手元にあるお姉ちゃんの写真。
「お姉ちゃんなら、どうする…?」