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[名探偵コナン]マティーニにお砂糖を

第14章 お祭り/ベルモット


「私さ、灰原さんに聞きたいことあったんだよね。」
「…何かしら?」
「灰原さんって20歳くらいのお姉さんいたりする?」

興味無さそうに携帯を弄っていた彼女はバッと顔を上げた。
その顔はとても驚愕に満ちていて、その場で足を止める。

「…お姉ちゃんのこと、知ってるの?」
「あ、えと、写真で見ただけなんだけどね、灰原さんによく似てたよ。志保さんだっけ?結婚してらっしゃるのかな、名字が違ったから。」

彼女は大きな目をさらに見開いた。

「ど、どこでそれを…」
「ちょっと仕事でね、お姉さん元気にしてる?」

ジンはああ言っていたけれど、私としてはどこかで生きていてほしい。
死んでもいい人なんていないはずだから。

「お姉ちゃんは…亡くなったの。殺されて…。」

彼女は俯いて唇を噛み締めた。
かける言葉が見つからない。

「…そっか。ごめんね、変なこと言って。」

暫く無言で歩く。
気まずい沈黙を破ったのは意外にも灰原さんの方だった。


「あなたもあっち側の人間なのね。」
「あっち側?」
「…ううん、いいの。じゃ、私ここだから。」

彼女は首を振ると、”阿笠”と表札のかかった門に手をかけた。

「うん、またね哀ちゃん。」

玄関の扉が閉まるところまで見届けて、振っていた右手をゆっくりと下ろした。

「なーんか、ちょっと飲みたい気分。」
途中のコンビニに立ち寄ろうと決めて、自宅のマンションへ足を向けた。




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