第14章 お祭り/ベルモット
(お祭り)
太鼓と笛の音が響く神社の境内。
提灯の明かりで照らし出された鳥居をくぐると参道の左右にりんご飴やたこ焼きなどの様々な屋台が並ぶ。
さくらはベルモットと並んで歩いていた。ただし、ベルモットは若い男性に変装している。私だってバレたらパニックになっちゃうじゃない?と言って。
きっかけはベルモットの一言だった。
「オマツリって言うのが今日あるらしいわ。」
ベルモットは私の家に来るなりそう口を開いた。
「そういえば昨日の夜からお囃子が聞こえてたかも。」
「私日本のオマツリって行ったことないのよね。今日一緒に行かない?」
「いいですよ、多分出店が開くのが6時頃からだと思うのでそれくらいに行きましょうか。」
「OK、ところで貴女って恋人はいるのかしら?」
「いえ、今はいませんけど…」
するとベルモットは満面の笑みで近付いて来た。
「ちなみにどんな男性が好み?髪は黒髪がいいかしら?眼鏡は?芸能人で好きな人はいる?」
矢継ぎ早の質問に思わず後ずさる。
「えっと…有名人でいうとね……」