第12章 新事実/ジン
「これが追加のデータだ。」
テーブルの上には書類の束とUSBメモリが1つ。その上にさらにジンはCDロムを乗せた。
「今からそれぞれのパスワードを口頭で伝えるから覚えろ。メモは取るな。まずはUSBメモリから…」
「ち、ちょっと待ってよ!無理無理せめてすぐ燃やすからメモ取らせて!」
慌ててメモ帳とペンを取り出した。
記憶力はいい方だと思っているが、2種類のパスワードをしかも口頭で言われて覚えておける自信がない。
「フン、いいだろう。ただし今日中に燃やせ。」
私がペンを準備し終わったのを見て、ジンは改めて口を開いた。
◻︎
「大丈夫、覚えたよ。」
メモに書かれたそれぞれのパスワードを何度か反芻して頭に叩き込んだ。
もう大丈夫だ。そう判断して、ジンのマッチを借りて紙切れに火を点けた。
メモが燃え尽きたのを確認し、ジンとウォッカは家を後にした。
そのデータはくれぐれも他人に見せるな、と言い残して。