第11章 小さな友人/コナン
扉が開いた音ではっと我に返った。
窓の外はすっかり暗くなっており、長い間読書に耽っていたことが分かる。
隣ではコナンくんが買ったばかりの本を未だ熱心に読んでいる。
扉の方に視線を向ける。そこには眼鏡をかけた見たことのない男性が立っていて、お互いに訝しげな視線を交差させた。
「有希子さん…ではないですよね?」
先に口を開いたのは男性の方だった。
慌ててコナンくんの肩を叩く。そこで彼はやっと本から顔を上げた。
「ああ、昴さん。おかえりなさい。」
当然のように挨拶をするコナンくんに、この人は?と小声で訊ねる。
「昴さんは今この家に住んでるんだ。」
言い忘れてた、ゴメンね、と謝られてしまえば、それ以上責めることもできない。
「すみません、お邪魔してました。コナンくんに連れて来てもらって、一緒に本読んでたんですがちょっと熱中しすぎちゃって…。でももう遅いからお暇しますね。コナンくんも、蘭ちゃん心配してると悪いから帰ろ?遅くなっちゃったから探偵事務所まで送っていくよ。」
読んでいた本を棚に戻す。
帰り支度を整えていると、昴さんから声がかかった。
「ですが、女性を夜道歩かせるわけにもいきませんし…差し支えなければ車で2人をお送りしますよ。」