第11章 小さな友人/コナン
「工藤…?新一兄ちゃんってもしかしてあの高校生探偵の工藤新一?」
10分ほど歩いただろうか、到着した家の表札を見るとさくらは驚きの声を上げた。
「ていうかここが工藤新一の家ってことはつまり工藤優作の家でもあるってことでしょ!?うわー感動!闇の男爵シリーズの大ファンなの私!」
今度工藤先生が帰国したら会わせてくれないかなあ?と目を輝かせて言うさくらに、コナンは伝えておくよ、と返すのが精一杯ただった。
書斎に入ると、思った通りさくらは大興奮だった。
「すごいすごい!これなんて絶版でもう手に入らないやつだよ!わあ、これも!ああーこの出版社のホームズシリーズ!私この人の翻訳好きなんだよねえ。」
「僕はこの本が1番好きなんだ!」
そんな2人を見た灰原は私帰るわ、と告げて工藤邸を後にした。付き合ってられない、とでも言うように頭を振って。
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沖矢昴が帰宅したのは午後8時を回ってからだった。
コナンから友達を連れて家に行きます、とメールが入っていたのは午後3時過ぎ。まさかまだいるとは思わず、家の電気が点いているのを見て驚いた。
「ただいま戻りました…コナンくん?」
奥に向かって声をかけるが返事はない。友人を連れて来るとメールにはあったが玄関には子供用の靴はなく。女性物が一足並んでいたため、友人は既に帰り有希子さんが来ているのだろうと結論付けた。
電気が点いている書斎の扉をノックする。やはり返事はない。
何かに集中しているのか?ゆっくりと扉を開けた。