第11章 小さな友人/コナン
そこへ会計を終わらせたらしい灰原が合流した。
その人誰?という彼女に簡単に出会った経緯の説明をした。
さくらにも灰原のことを紹介する。
「そう、じゃああなたもシャーロキアンなわけ?」
ミステリーが好きでこの本をお互いに欲しかったんだという話をすると彼女はそう口にした。
思わず2人で顔を見合わせる。
「確かに私はホームズ好きだけど…あなた”も”ってことはコナンくんもホームズ好きなの?」
「うん!全部読んだことあるよ!」
「そうなんだ!すごいね、難しい話が多いのに。」
「でも面白かったから一気に読んじゃったよ!ねえ、さくらさんはどの話が1番好き?僕はね…」
「どうでもいいけど、邪魔になってるわよあなた達。」
つい話に夢中になってしまい、ここが書店の通路だということをすっかり忘れていた。
「ああ、じゃあさくらさん、新一兄ちゃんの家来る?色んな推理小説がいっぱいあるよ!」
「新一兄ちゃん?」
「僕の親戚のお兄ちゃんなんだけど、今は留守にしてて僕が鍵預かってるんだ。この後予定なければどう?」
ならお邪魔しようかな、というさくらの言葉を聞いてコナンはレジへ足を向けた。
その後ろを灰原は小走りで追いかける。
「ちょっと、昴さんいるのに何考えてるの?」
「大丈夫だって、昴さんには連絡入れておくからさ!」
シャーロキアンの友人が出来たのが嬉しくてしょうがないのだろう。
もう何を言っても聞く耳を持たなそうなコナンの様子に、灰原は溜息を吐いた。