第10章 ワトソンにはなれない/コナン
そのことを告げるとすぐに、被害者の荷物が調べられた。
結果、被害者が持っていたホチキス留めされていた冊子の針に血痕が付着しているのが見つかり、その冊子を彼に手渡したという同行者の1人が自首したことで事件は解決した。
「お手柄でしたな、山門先生!」
無事に目的地へ到着した飛行機から降りるためにスロープを歩いていたところ、後ろから毛利探偵に声をかけられた。
「紹介が遅れましたが、娘の蘭と居候のコナンです。」
初めまして、と軽く2人と握手をする。
ゲートを出たところのロビーのソファーに並んで腰を下ろした。
事情聴取のため少し残って欲しいと言われたためだ。
「蘭ちゃんてさ、格闘技何かやってる?空手かボクシングか…」
「え、なんで分かるんですか!?ずっと空手をやってますけど…」
「手を握ると何でも分かるんだ…なーんてね、拳を使う格闘技を長くやってる人は拳が平らになっちゃうことが多くてね、蘭ちゃんの手がそうだったから何かやってるかなって思って。」
「すごーい!さくらさん名探偵みたい!そういえば新一もそんな感じのことしてたな…」
「新一って?もしかして蘭ちゃんの彼氏?」
「いえ、そんなんじゃない…と思うんですけど…」
「…っあ、さくらさん!高木刑事が呼びに来たみたいだよ!」
30分ほど談笑していただろうか、高木という若い男性の刑事が私を呼びに来た。あちらの部屋へ、と促される。恐らく2人とはここでお別れだろう。
「じゃあまたね、蘭ちゃん、コナンくん。今度事務所に遊びに行くね!」
顔が赤い蘭ちゃんと、やや慌てたようなコナンくんと、2人とは連絡先を交換して別れた。
そういえば毛利探偵事務所は私のマンションと同じ米花町だったはずだ。
家に帰ったら探偵事務所の住所調べようと心に決めて帰路に着いた。