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[名探偵コナン]マティーニにお砂糖を

第45章 再会/H様へ


「ひ、久しぶり。」
教授達がある程度離れたのを確認して、私は恐る恐る彼らの方へ向き直る。
「ええ。とっても、久しぶりね。」
哀ちゃんの言葉尻に感じる棘。作った笑顔が引きつるのが分かった。
「それよりお陰様で元に戻れたんだから、その“コナンくん”てのやめてくれよな。」
座るよう促され、彼らの隣へ腰を下ろす。

「あ、あのね、今回の帰国は本当に急に決まったことでね、日程もギチギチだったから人と会う時間作れるかどうかもわからなくて、」
言い訳するつもりはないんだけど、と口を開くが、それは工藤くんによって制止される。

「別に黙って帰ろうとしてるのを責めてるわけじゃねーんだよ、礼ぐらい言わせて欲しかったって話。」
「そうよ、渡米する時だって手紙一枚で、見送りすらさせてくれなかったんだもの。」
「蘭も園子も寂しがってたんだぜ?」
「あの子達もよ。私と江戸川くんもいなくなるっていうのに、あなたも突然引越したっていうからショックが大きかったみたいよ。」
宥めるの大変だったんだから、と志保ちゃん。
「それは…まあ確かに…申し訳ないとは思ったけど…。」
責めるわけじゃないと言いつつも非難するような2人の口調に自然と歯切れは悪くなる。

「あそうだ、私が工藤家に送った本どうだった?どうしても処分したくない私のイチオシを選りすぐったんだけど。」
「そうそうそうあれ!全部マジ良かった!読んだことないやつばっかりだったし!父さんも喜んでたぜ!」
「工藤先生も?それは良かった。」
何とかこの重い空気を変えようと振ってみたこの話題に、思った以上に工藤くんが食いついてくれた。
どうやら本の感想を誰かに話したくて仕方がなかったらしく、あの本のトリックは最高だった、あの作家はすごい、と熱弁をふるっている。
その隣では呆れた顔をした志保ちゃんが溜息を吐いていて、彼女には本当に悪いことをしたと少しだけ反省した。
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