第45章 再会/H様へ
予定していた日程は全て無事に終了し、大きなトラブルもなくて良かったと安堵しつつ帰途についた。
フライトまではもう少し時間がある。
ちょうど目についたカフェに入ろうと提案し、そちらへ歩き出したのだったが。
カフェを目指していた私の足はとあるベンチの前で止まることになる。
「コナンくん…それに哀ちゃん…。」
見間違うはずがない。数日前に見かけた2人が今、私の目の前に立っていた。
「黙って帰るなんて、あんまりじゃない?」
「このフライト調べるのすげー苦労したんだからな!」
私は今回の帰国に際して1つだけ、心に決めたことがあった。それはコナンくん達には連絡を入れないこと。
元の体に戻ったことで組織との因縁は絶たれたとは言え、宿敵であったジンと一緒に住んでいる以上彼らに合わせる顔がない。ましてやジンは死んだと思っているのだから尚更だ。
それなのに彼らはわざわざ私に会うために帰りの飛行機を調べて、授業をサボってまでここに来てくれた。
じわり、と視界が滲む。
「山門くん?…え!?ちょっとどうしたの?大丈夫!?」
突然足を止めた私の顔を不思議そうに覗き込んだ教授が驚いて声を上げた。
「あ、すみません。久しぶりの友人に会ったので懐かしさでつい。ちょっと彼らと話してもいいですか?搭乗手続きには必ず間に合うように向かいますから。」
手の甲で目元をぐっと拭ってそう言うと教授は二つ返事で許可をしてくれた。なんなら君だけ明日帰って来てもいいんだよ、なんて冗談を言い残して教授達は当初の予定通りカフェへ向かってこの場を離れた。