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[名探偵コナン]マティーニにお砂糖を

第45章 再会/H様へ


「ねえ、本当に来るわけ?」
飛び立つ飛行機を横目にコーヒーのカップを傾ける。

工藤くんからさくらさんを見かけたと電話があったのは3日前。
その電話の直前に私も似た人を見かけたのだと告げると慌てたようにその通話は切られた。
後に聞いたところ、その通話を切った直後から翌日に出る予定だった試合をフイにしてまで3日間さくらさんを探し回ったらしい。
彼のありとあらゆる、持ちうる全てのコネを使った結果、彼女がアメリカへ戻る飛行機の便の特定に至ったのだという。
そして今日。高校の玄関で顔を合わせるなり挨拶もそこそこに「さくらさんに会いたくねーか?」と聞かれて思わず頷いた結果ここにいる。

「14時の便で出国するはずだからそろそろ来ると思うんだよなー。」
左腕の時計をちらりと見て、彼はまた手荷物カウンターへと視線を戻す。
「それより午後の授業、よかったの?」
「あん?」
「あなた、しょっちゅう事件だとかで欠席するじゃない。そろそろ単位危ないんじゃないの?」
そう、今日は平日。この時間、クラスメイトは退屈な現代文の授業の真っ只中のはずだ。
「おめーまで蘭みてーなこと言うなよな。俺はその分テストで挽回するからいいんだっての。」
少しだけ唇を尖らせた工藤くんが突然勢いよく顔を上げた。
訝しむように視線を投げると、あれ、と彼は前方を顎でしゃくる。
旅行客に混じって、大きなスーツケースを転がしながら数名の外国人の男性とともにカウンターへ向かう1人の女性。
中には先日の酔っ払っていた男性の姿もあり、やはりあの夜の女性はさくらさんだったのだと再認識させられた。

もう少し時間があるからどうしようか、あそこのカフェでコーヒーでも飲みますか、いいね小腹が減ってたとこだ、荷物を預け終えた彼らはそんな会話をしながらこちらへ近づいて来る。
あと数歩で私達の座るベンチの前を通り過ぎるかというその時、先頭を歩いていたさくらさんの足がピタリと止まった。

「コナンくん…それに哀ちゃん…。」

彼女は大きな目をさらに見開いてどうしてここに、と小さく呟いた。
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