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[名探偵コナン]マティーニにお砂糖を

第44章 安息の時はまだ/K様へ


「お久しぶりです安室さん。…あ、降谷さんとお呼びした方がいいですね。すみませんつい癖で。」
安室で構いませんよ、と笑った彼の顔は以前と少しも変わらないもので、私は胸を撫で下ろした。
行きましょうか、と自然な動作で腕を取られる。
ジンに黙って家を出てきたことにほんの少しだけ罪悪感を覚えながらも、彼のエスコートに身を委ねた。




安室さんが予約をしてくれていたレストランは、ミレニアムパークからほど近いホテルの中にあった。
高層階にあるそのレストランはデートスポットの定番にもなっているらしく、客のほとんどがカップルのようだった。
些かの居心地の悪さを感じながらも、案内された席に着く。

安室さんが選んだ店というだけあって、味は上々だった。
「コナンくんや哀ちゃんは元気にしてますか?」
「ええ、2人とももうその名は使ってませんけどね。米花高校で充実した学生生活を送っているみたいですよ。」
「それはなにより。園子ちゃんと蘭ちゃんは?」
「元気ですよ。蘭さんはまた大会で優勝したとか。」
すごいですね、と笑うと安室さんも笑い返してくれる。
もしもあのとき私が屋上に行かなかったら。
こんな日常が今も続いていたのだろうか。

「懐かしいですね、こうしているとさくらさんと初めて夕食を共にしたことを思い出しますよ。」
運ばれて来た食事を口に運んで、安室さんは少し目を細めた。
「あの頃はまだ安室さんが組織の人だって、ましてや公安だったなんて知りませんでしたね。」
「潜入捜査をしているのにまさかバラすわけにはいかないでしょう。」
ですね、と再び笑い合う。
外はすっかり日が落ちて、美しいシカゴの夜景が窓の外に広がっていた。
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