第41章 新たな居場所
「あれから体調とか気になることはない?」
「特には無いわね。むしろ調子がいいくらいよ。」
「それはよかった。」
ホテルの屋上からジンとベルモットが飛び降りて、ウォッカも爆発に巻き込まれて死んだと思われたあの日。
私はそのまま重要参考人として警察に連行されて、やっと帰宅できたのは3日後。
疲れきった体で玄関ドアを開けたら死んだはずの3人が私の家のリビングで寛いでいるものだから、それはもう驚いた。
聞けば、ジンとベルモットは飛び降りたと見せかけてすぐ下の階に身を隠し、ウォッカは車に積んだ爆弾の時限装置を起動させると安全圏まで退避していたらしい。
でもそれじゃあ見つかった3人の遺体は?と聞くと、その辺にいた体格の似てる奴をな、と背筋の寒くなるような答えが返って来た。
ちなみにジンとベルモットが落ちる直前に飲んだ薬…APTX4869は彼らの体をコナン君たちのように縮めたらしく、よく見るとソファに座る2人が高校生くらいの見た目になっていたことで私は二度驚かされたことも忘れてはならない。
その後ジンからの強い要請もあって、それこそ寝る間も惜しんで解毒剤の開発を進めた結果、警視庁での取調べが終わる前日にそれが完成したのだ。
解毒剤が完成するまで臨床試験くらい何度でも付き合ってやる、と申し出てくれたジンの協力あってこそなのだが。
ちなみに私はと言えば、3日も欠勤をした上にその原因が警察沙汰ともなれば何のお咎めもなしというわけにもいかず。
院長との面談の上で辞表を出した。表向きは自主退職になる。
部長や同僚は引き留めてくれたものの、有る事無い事噂はすでに院内を駆け巡った後で、周りの人への迷惑を考えた結果でもあった。