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[名探偵コナン]マティーニにお砂糖を

第1章 人助けのつもりが/ジン



もしかすると私は大変なものを拾ってしまったのかもしれない。
自室のベッドで横になる男性を見ながらコーヒーの入ったマグカップを口へ運んだ。



マンションのエレベーターホールに辿り着いた時点で、既に彼の意識は朦朧としていた。
浴室で血と汚れを洗い流し、応急手当をする間でついに彼は意識を手放した。
本当ならば輸血の1つでもしてやりたいところだが、個人宅にはそのような用意はなく。とりあえず脈と呼吸は規則的なのでこのまま帰らぬ人に…なんてことにはならないだろう。

手当が終わり、彼の汚れた服を洗濯機に投げ込むとその足でキッチンへ向かった。




コーヒーの程よい苦味が口に広がっていくにつれ、段々と頭がスッキリしてくる。
つくづく、人気のない深夜で良かったと思った。血塗れの男を運んでいたのを見られたら間違いなく警察を呼ばれている。

しかしいくら死にそうな怪我人だったからと言っても初対面の、名前すら知らないような男性を家にあげるなんて…なぜ救急車を呼ばなかったのか…いや怪我の様子からあれは恐らく銃痕だろうし救急車を呼ぶとまずいような立場の人ではないのか。少なくとも彼は銃刀法違反を犯していたではないか。つまり私はそんな危ない人を自宅に招いてしまったということで…

いや、深く考えるのはやめよう。
ちょうど洗濯機が仕事の終了を告げている。
思考を断ち切るかのようにソファから立ち上がった。

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