第36章 ショッピング/灰原
「おお哀くん、待たせたな!おやさくらくんも一緒だったんじゃな。」
デパート内のカフェで休憩をしていると、紙袋をいくつか抱えた博士がこちらに気付いて駆け寄ってきた。
「お目当てのものは買えたのかしら?」
「お陰様でな、この通りじゃ!」
博士の手にある紙袋の隙間からは紳士物の上着やズボンがのぞいている。
「じゃ、私はそろそろ行こうかな。哀ちゃん、買い物付き合ってくれてありがとうね。お陰でいい買い物ができたよ。また誘ってもいいかな?」
「ええ。私も楽しかったわ。」
「早くそれを着せてあげられるように頑張るよ。」
不思議そうな顔をした博士に軽く頭を下げると、カフェを後にした。
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「おや哀くんも何か買ったんじゃな?」
駐車場へ向かうエレベーターの中で博士は灰原が持つ紙袋を指差した。
「これ、さくらさんが買ってくれたの。今はまだ着れないけど…いずれね。」
「?どういうことじゃ?」
「ううん、気にしないで。」