第29章 (番外編)クリスマス
ワインももうじき空になるかというところ、酔いも手伝ってだんだんと瞼が重くなってくる。
ソファに寄りかかってぐっと伸びをした。欠伸が出てしまったが隠す気力もない。
「眠いのか?」
「そう、昨日夜勤でね。帰って来てそのままコレ探しに出たから寝てなくて。」
目をこすると、ちょうどジンがキッチンから水を取って戻って来たところだった。
「寝ていくか?隣の部屋のベッドを貸してやっても構わねえぜ。」
有り難い申し出だったが、流石にいきなり来た上にベッドを占領するのは気がひける。
「いいよ、帰って寝るわ。ここからうちまで割と近いしその辺でタクシーでも捕まえて、」
そう言って立ち上がると視界がぐにゃりと歪んだ。
慌ててソファの端を掴んでなんとか倒れるのだけはこらえる。
寝不足の体には思っている以上にアルコールが回っていたらしい。
頭を押さえて再びソファに座り込んだ。
ふう、と息を吐くとソファの右側が沈む感じがあった。
目の前に水の入ったグラスをかざされる。
礼を言って一気に煽った。
目の前のテーブルに空になったグラスを置くと、ぐっと肩を引き寄せられた。
突然のことに私はそのままジンに体を預けることになる。
「わ、え、何!?」
しかしジンはそのままトントンと私の肩を叩いた。
「少し寝ろ。帰る途中で倒れられでもしたら寝覚めが悪いだろうが。」
そう言うとジンは読みかけの小説を開いた。
でも、と体を起こそうとすると肩にかけられた手の力が強くなる。
「肩じゃ不満なら、膝枕でもしてやろうか?」
そう口角を上げて言われて、慌てて首を振った。
誰にも見られるはずはないとはいえ恥ずかしすぎる。
「起きたらウォッカを呼んで送ってやるよ。」
「はは、ウォッカかわいそう。そんなことに呼び出され、て」
肩に感じる温もりも相まって、私はすぐに
意識を手放した。