第29章 (番外編)クリスマス
ひとまず駅員さんに鍵を見せて聞いてみる。
通りがかった人、駅員室にいた人、皆一様に首を横に振った。
「そりゃそうだよね。」
駅ナカのカフェで手紙を広げて溜息を吐いた。
これだけのヒントで探し出せって方が無茶だ。
探偵であるコナンくんや安室さんに頼んだところでこれではお手上げだろう。
もう諦めて帰ろうと手紙を畳もうとした時、テーブルの端に置かれた水を肘で突いてしまった。
「あ、やば!」
カランと音を立ててテーブルの上に水が広がる。
「お客様、大丈夫ですか?」
すぐにウェイターさんが布巾を持って走ってきてくれた。
礼を言ってそれを受け取ると、半分濡れてしまった手紙が目に入った。
「ん?」
拾い上げると、濡れたところに文字が浮き出している。
僅かに残っていたコップの水を手紙の上にかけると、床を拭いていた店員が驚いた顔をした。
すみません、と謝ってじわじわ染み込んでいく水滴を見つめた。
「Southern Terrace?…サザンテラス口か!」
携帯で確認すると、改札の近くにあるコインロッカーは1つだけのようだった。
すぐに鞄を掴むと店員に会釈をして急ぎ足でカフェを後にした。