第27章 FBIとの攻防/黒の組織
落ちてきた帽子を右手で受け止めて、ジンは口角を上げた。
「ホー、他にも仲間が隠れてやがったのか。なかなか卑怯なことするじゃねェか、FBI。」赤井さんからコンテナの影へ、ジンの左手にある銃口が角度を変える。
まずい。
つうっと背中に嫌な汗が伝う。
今飛んでいったサッカーボールには見覚えがある。
間違いなく、彼だ。
ちらりと赤井さんに視線をやるが、驚いた様子は見られない。
そういえばFBIにもツテがあると言っていたっけ。彼らに連れて来てもらったのだろう。
どうしてこんな危険な場所へ連れて来たのか、少しだけFBIを恨んだ。
しかしこのままではジンが引き金を引くのも時間の問題だ。
彼が怪我をするのは流石に寝覚めが悪い。
「ジン、ちょっと…!」
銃を下ろしてもらおうと声をかけようとした時だった。
遠くで聞こえていたパトカーのサイレンがだんだんと大きくなってきている。
先ほどの銃声を聞いた人が通報でもしたのだろうか。
ジンは小さく舌打ちをすると、あっと思う間も無く赤井さんの足元に数発銃弾を撃ち込んだ。
そして間髪を入れずにこちらへ向かって来ると、驚く私の腕を掴んで車へと押し込んだ。
その後を追ってジンとウォッカも車へ乗り込むと、勢いよく車を発進させた。
ジンが窓を開けて更に数発、後方へ向けて発砲すると車はぐんと速度を上げた。