第27章 FBIとの攻防/黒の組織
両手を挙げて数歩後ずさる。
「武器は隠してないわね?じゃあそのままゆっくり膝をついて、ゆっくりよ。」
言われるがまま膝を折ってしゃがもうとした、その時。
少し離れたコンテナの上で何かがキラリと光った。
暗闇に目を凝らすとそこにはうつ伏せになって何かを構えている人影。
あの形状…ライフルだろうか。
その銃口は真っ直ぐにジンの方を向いている。
「ジン、危ない!」
「あなた何を…っ」
肩に手をかけてきた女性の手首を掴む。
そのまま重心を落として相手の軸足を引っ掛けると、袖を掴んで地面に引き倒した。
小さく呻いた女性の手から、握られていた拳銃を取り上げる。
コンテナの上のライフルに狙いを定めると、迷わずトリガーを引いた。
直後、耳をつんざく発砲音と何かの割れるような音が辺りに響く。
一瞬の静寂。
遠くで車のエンジン音だけが聞こえた。
ややあってライフルのあった辺りに人影が立ち上がったかと思うと、ヒュウと口笛の音が鳴った。
トン、とコンテナから長身の男性が降りてくる。
「その距離から正確にこのスコープを撃ち抜くとは。しかもハンドガンときた。…どうやら我々は眠れる獅子を起こしてしまったようだな。」
「フン、赤井秀一か。どうする?これで形勢は逆転したが…まだ続けるか?」
ポケットから銃を取り出したジンは、その銃口を赤井と呼んだ男性に向けた。
「果たしてそうだろうか?」
赤井さんがそう言い終わるや否や、コンテナの脇からパリッと閃光が走る。
何だ、と思う間も無くジンの顔スレスレをサッカーボールが飛んでいった。
風圧で帽子が宙を舞う。