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[名探偵コナン]マティーニにお砂糖を

第26章 温泉旅行/安室


「これをどうするつもりですか?」
「体温を下げます。低体温状態にすれば心停止による脳へのダメージを最小限に留められますから。」
安室さんは納得した顔で缶を男性の周りに並べていく。
その中でパッと見て1番度数の高かったワンカップを手に取ってその蓋をあけた。
そしてそれを近くの布巾に染み込ませると男性の身体を拭いていく。みるみるうちにお酒まみれになっていく男性。
驚いている奥様や従業員を横目に何度もそれを繰り返した。

「なるほど、気化熱ですね。」
缶を出し終えた安室さんは近くにあった雑誌で男性の体を仰ぎ始める。
そんな安室さんに促されて奥様も新聞を手に取った。



「氷、持ってきました!」
肩で息をする従業員から氷の袋を受け取ると男性の体の上へぶちまける。
少し遅れて到着した度数の高い酒、ウイスキーを受け取るとこれも先程と同じように男性の身体へ塗りつけていく。



◻︎



「こちらです!」
救急隊員が到着した時、彼らは揃って驚いた顔をした。
無理もないだろう。恐らく氷漬けの男性を搬送することなど無かったのだろうから。

「67歳男性、ヒートショックによる心配停止。やや高血圧とのこと。転倒した際に頭部を打ったそうなので一応CTかけてください。心臓マッサージはしましたが、救急車の到着が遅れそうとのことだったので低体温での脳ダメージ軽減に切り替えました。」

男性を救急車に乗せるまでの間、隊員に状況を説明する。
救急の医師だと告げると、救急車に同乗してくれと頼まれた。

「乗ってください、僕も車で後を追いますから。」
どうしようかと安室さんに目で問いかけると、トンと背中を押された。
頷いて救急車のステップに足をかける。私が乗り込んだことを確認すると救急車はサイレンを鳴らして動き出した。
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