第4章 [黒子のバスケ]不器用な指先*°★緑間真太郎★
「え、あっ…ごめん。」
少しの沈黙
掴まれた手から私の跳ね上がった鼓動が伝わらないかと心配になる
「自主練が終わるまで待っててくれるなら一緒に帰れなくもない」
うわぁ…
ダメだってそんな顔しながら言うとか、反則…
私は、ポカンと目の前に居る大好きな彼の表情を見上げていた
「おい、聞いているのか?」
「…はっ!う、うん!聞いてます、聞いてます!」
「で、どうするのだよ」
「待つ!ぜひ待たせて下さい!」
嬉しすぎてどうしたら良いのか分からず、必死に答えた
「ではお前の部活が終わった後、俺達が使ってる体育館に来るのだよ」
「うん!分かった」
私がそう言うと、スルッと自然に解かれた腕はまだ熱を帯びていた
このひどく緩んだ顔を見させまいと、すぐ『じゃぁね!』と彼に手を振り、急いで教室へと戻った
けど、どうやら教室に着くまでの道のりの記憶は曖昧で…
そんなテンションのまま受けた午後の授業も、放課後の部活も、色々とミスはするし、友達には色々突っ込まれるしでもう散々…
けど、時間はあっという間に過ぎ────
『~♪じゃ、今日の事は明日ゆーっくり聞かせてもらうからねぇ~』
『手とか、手とか手!繋いじゃいなよ~』
そう友達には言われまくった。
まったく…
けど、まぁそうだよね。彼女たちには色々相談してたし、心配もしてくれてたからな
そう言われるのも納得がいく
それに、あの“変人“緑間真太郎と付き合う事になったのだから、私が彼女たちの立場でも気になる事は盛りだくさんだ…
そんな事を考えながら、それはもうこれ以上ない位のアホ面を晒しながら彼の居る体育館へと歩みを進めていた
もうすぐで体育館だ。
ほとんどの部活は終わっていて、皆足早に校外へと向かっている
私は少しの緊張と、少しの興味を抱えたまま、
聞えてくるボールの音のする方へと向かっていると…
「お~じゃん!こんな所で何してんだ?」
「わ!ビックリした!高尾か」
「高尾か…じゃねぇよ!ったくホントお前ってさ、真ちゃんと俺とで態度全然ちげぇよなー」
首からかけたタオルで汗を拭いながら、人懐っこい笑顔で私の肩に手を回す
「ちょっと、近い!」
「んだよ相変わらずつれねぇーなー」