第6章 昇る竜
草彅のヤサに着いたら、まっすぐ矢崎の閉じ込めてある部屋に向かった。
隣の部屋から草彅が現れた。
「親父、どうしたんだ」
「あいつ殺る」
「えっ…」
「部屋あけろ」
「親父…」
草彅が部屋の鍵を開けた。
ドアを開けたら、またあの嫌な臭いがした。
部屋の灯りが点けられ、奥の部屋に進む。
矢崎が俺を寝ぼけた目で見上げた。
俺は歩きながらポケットからレンコンを取り出した。
セーフティーを外すと、矢崎の頭に向かってぶっぱなした。
「親父…」
白い煙が銃口から立ち上ってる。
飛び散った血と脳漿を払いながら、俺はセーフティーを掛けた。
それを草彅に渡して、俺は部屋をでた。
「後始末しとけ」
「…わかりました…」
相葉が後を追っかけてきて、車に乗り込む。
静かに車を発進させると、いつもよりも早いスピードで家に向かった。
その間、一言も発さない。
俺はまたタバコに火を点けて、腕に押し当てた。
腕には無数の火傷の痕がある。
一つ罪を犯す度に、増えていく。
こんなことしてないと保たないくらい、俺は脆い。
自分の弱さを自嘲して、俺は窓の外を眺めた。
流れる景色は、変わらず美しい。
なにも変わらないのに、俺だけ変わった。
翔…たすけて…