第22章 folder.6
「じゃあ、しっかりやれよ…」
ボンのその一言で、今日の打ち合わせは終わった。
その晩は、酒盛りになった。
泣きそうな顔をして酒を飲む二宮を、全員でいじり倒してやった。
加藤とこれから加わる新チームとで、増々ボンの足元は強固にできる。
そして、俺自身の昇進も…
もっと…もっとだ。
まだ上を
この組を動かせるようになるまで…
智の闇を、引受ける男に…俺はなるんだ
楽しそうに酒を飲む智を見ていたら、涙が出そうになった。
俺は…もっともっと…強い男になるんだ…
酔っ払ったボンを部屋で寝かせると、俺もそのままボンのベッドに倒れ込んだ。
今日も組長は愛人の所に行っていないし、相葉がそれとなく俺たちを二人にしてくれたし…
「翔…」
智の唇が重なると、ゆっくりと俺たちは愛し合った。
丁寧に…壊れないように…
智の身体をゆっくりと高めていく。
「どう…したの…?」
「ん…?」
「今日なんか…優しい…」
「そう…?こういうの嫌い?」
「嫌いじゃない…気持ちいい…」
うっとりと閉じた瞼にキスを落とすと、ぎゅっと抱きしめた。
「…愛してる…智…」
「うん…俺も…」
抱きしめ返す腕は、温かい…
「愛してるよ…翔…」
愛してる…愛してる…
いつか…智をこの世界から連れ出すことはできないだろうか…
海辺に家を買って…そこで好きなだけ絵を描いて…
その横で俺は…ただ微笑んで…
いつか…智…
ここから連れ出してあげる
その前に…
おまえの闇、取っ払ってやるよ
矢崎…この手で…
始末してやる
【Folder.6 END】