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翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第6章 昇る竜


「…矢崎バラす(殺す)んですか?」
「バラさねえよ」
「え…?」
「時期を見て、逃がしてやるよ」

相葉はハンドルを殴った。

「さっきの話…本当なんですか?」
「…ああ」

それきり、相葉は喋らなくなった。
流れる夜景を見ながら、俺はタバコに火をつけた。

「お前が気にすることねえよ」
「智さんっ…」
「もう何年前の話だと思ってんだ…」
「じゃあバラしましょうよ」
「バラさねえって言ってんだろ」
「あんたを殺ろうとしたんだっ…」

完全に頭に血が上ってる相葉の肩を叩いた。

「…次はねえよ」

家に着いても、相葉は収まりが付かないみたいだった。
風呂に入って、線香の匂いを洗い流す。
上がると相葉がバスローブを持って立っていた。

「なにしてんだ」
「今日は二宮の代わりをします」

そう言って俺にバスローブを掛けた。

「いいから、帰れよ」
「いいえ…今日は、傍に居させてください…」

相葉が俯くと、涙のしずくが床に落ちた。

「バカ野郎…なに泣いてんだよ」
「すいません…」

ごしっと袖で涙を拭うと、バスタオルを差し出した。
髪を拭きながら、相葉の頭を撫でてやった。

「明日は朝一で喜多川に戻るから、起こしてくれよ?」
「はい…」

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