第6章 昇る竜
二宮が立ちあがって頭を下げた。
「すいません、通夜なのにこんなことになって…」
「いや、多分それが狙いなんだろうよ…」
向こうにはこっちの事情は筒抜けなんだろう。
「とりあえず今日はゆっくり休め」
「いえ、戻ります」
「バカ野郎。帰っていいなんて言われてないだろ?」
「でも…」
「松本置いてくから、それで我慢しろ」
二宮に近づいて、唇を奪う。
「とにかく早く傷を治せ」
「はい…」
松本を病室に入れて、相葉と草彅を連れて車へ向かった。
「総長…」
「サツだとよ」
「えっ…」
「さっき遠藤の野郎が、二宮にマークがついたと言ってきた。矢崎のチャカの出処、サツの関係者だ」
「なるほど…矢崎はでも、何も知りませんよ?」
「…もうなんかしたのか?」
「いいえ…丁寧に事情を聞いただけですよ?」
にやりと草彅は笑うと、暗闇に目を向けた。
「宅急便で届いたそうです」
「…ふうん…手が込んでるな…」
「詳しい事情は知らないようですが、あなたに父親が殺されたってことだけ、知らされたそうです」
矢崎の息子は、今、喜多川一家と敵対する組の下っ端をしていて、名前を上げようとして俺を襲ったそうだ。