第6章 昇る竜
「総長就任、おめでとうございます」
亀梨が、ぱりっとスーツを着こなし頭を下げる。
いつもラフな格好しかみていなかったから、なんだかまばゆかった。
「おう…ありがとう。お前ら長瀬を支えてやってくれよ?」
「はいっ…」
立ち上がると、線香番をするよういいおいて親父の顔をみた。
安らかな顔をしてる。
「畳の上で死ぬヤクザなんざ、ヤクザじゃねえぞ?親父…」
姐さんがくっくと笑った。
「じゃ、あと頼んだぞ」
そう言って俺はもう一個の広間に戻った。
相葉と松本が待っていた。
草彅もその傍で控えていた。
「総長…二宮は…」
「ああ…連絡が取れねえんだ…」
「一体、あいつはなにしてんですか?」
相葉が非難を込めた目で俺を見てる。
若頭である相葉に、何も通して居ないから当然のことだ。
「すまねえ…ちょっと個人的なことだ…」
「個人的…?」
草彅が口をはさむ。
「総長…そりゃあ…ないだろう」
「いいから…お前は黙ってろ」
何かを察したのか、草彅は黙った。
相葉と松本は納得出来ないという顔をしている。
「とにかく通夜が終わるまでは、待ってくれ…」
「わかりました…」
しぶしぶ二人は矛を納めた。