第6章 昇る竜
二宮に電話をするが、繋がらない。
「草彅…二宮見なかったか?」
「え?今日ですか?」
「いや、矢崎に当たった時」
「いえ…見てませんが…」
おかしい。
矢崎を追っているなら、かち合って不思議じゃない。
あいつ、何を追っているんだ…?
その時、障子戸が開いて長瀬が入ってきた。
「親父の棺が着きました」
「ああ…今行く」
玄関まで出て行くと、車から棺を下ろすところだった。
幹部が揃って棺を担いでる。
俺は先頭に立って、棺を広間に入れた。
ここは親父の寝ていた広間ではなく、葬儀を行う広間だ。
親父の寝ていた広間よりも広い。
姐さんが棺の傍らに座る。
業者が線香などを用意していく。
親父の棺の窓を開けると、姐さんは線香に火を点けた。
「総長、線香番だれか決めておくれよ」
「…ああ…中丸呼んでくれ」
長瀬にそういうと、長瀬はにっこり笑って出て行った。
中丸は長瀬が大野組に連れて行こうとしている一人だ。
暫くすると長瀬は、中丸と亀梨そして上田を連れてきた。
「総長、お久しぶりです」
3人は揃って頭を下げた。
今、こいつらには千葉の組に行って抗争の仲裁を任せていた。
「おお…ちゃんと仕切ってるそうじゃねえか…頼もしいな」
「ありがとうございます」