第5章 臥竜
相葉に変わってもらうと、草彅の叔父貴の指示を受けるよう伝えて電話を切った。
控えていた若衆に子機を渡すと、浴槽に沈んだ。
こぽこぽと音がする中をゆっくりと揺蕩う。
風呂から上がると、二宮が戻ってきていた。
車の修理は若衆に任せてきたということだった。
「わかった…とりあえずお前は今日はゆっくりしろ」
「はい…」
「風呂、入るか?」
そう言って肩を抱きながら、寝室に入った。
「じゃあ、シャワーだけ…」
そう言って、寝室のバスルームへ入っていった。
テレビを付けると、ニュースを探した。
まだどこも報道していない。
外はパトカーの音がひっきりなしにしている。
きっと大野組だとわかっているだろうけど、決め手がないから踏み込んでこないんだ。
スマホを手に取ると、松岡の兄貴に電話を掛けた。
『もしもし、智?』
「兄貴、ごめん。今、いいか?」
『どうした?』
「さっき、銃撃受けた」
『なんだと!?』
「俺は無事だから…」
『喜多川の総長と知ってのことか?』
「いや、鉄砲玉は逃げちまったからわからねえ」
『ふうん…』
「サツの目眩ましがしたい」
『…ふうん…じゃあお前、心当たりがあるんだな?」