第22章 folder.6
「経理部長…いつかは出てくると思ってたけど、案外すんなり出てきたな…」
「おふくろ…赤坂とデキてんですよ…多分。まだ確認は取れてないから報告できなかったんですけど…」
「え?」
ふっと二宮は笑った。
「親父は…教団幹部には名前を連ねていません…調べてもどうしてるのか…」
ボンが伝票を持って立ち上がった。
「行くぞ」
「はい…」
帰りの車には相葉を運転手として待たせていた。
車に乗り込むと、ボンは助手席に座る二宮の頭を後ろからぐしゃぐしゃと撫でた。
「な、なにすんですかっ…」
「まあ、あれだ…おまえのことはまた考えてやるから…仕事、きっちりしろや?」
「…はい…」
相葉に今日のことを伝えながら大野の家に戻った。
「えっ…もう二宮のおふくろさん出てきたんだ…早いな…」
「ああ…案外、展開は早いかもしれない。相葉の出番も早いかもしれないから、準備しとけよ」
「はい。わかりました…」
パソコン部屋には今日は加藤が待機していて、今日の話をまとめてくれてる。
ホントにコイツは頭がいい。
「ええっと…教団幹部の…二宮和子…」
パソコンでデータを出して、ボンに見せてる。
教団本部のデータにはハッキング済みだ。
「あ、出ました…これですね…」
「これか…二宮のかあちゃん…」
暗い表情で画面を見つめるボンは、少し考え込んでる。
画面には二宮和子の写真が出てる。
二宮と似て、色白の美人だ。
写真でわかるほど、艶っぽい年増だ。
これが…二宮の心を殺した親ってわけだ…