第22章 folder.6
その後はめちゃくちゃになった。
酒を飲んでもどうなることでもなかったが、止まらなくて…
泥酔して二宮に大野の家に送られても、まだ酒が飲みたかった。
「一体どうしたんだよ…」
まだ早い時間なのにぐてんぐてんになってる俺を、智は心配して部屋まで見に来た。
触れたいのに…触れない…
「翔…?」
智の伸ばしてきた手は冷たかった…
「智…」
「え…?」
言えなかったんだな…
ごめん…
こんなこと、言えるはずもない…
矢崎は今や大野組では俺に次いでの稼ぎ頭で、容易に切ることなんてできない。
零細企業みたいなもんだから、稼ぎが減ると組長の立場が弱くなる。
そんなこと、この人にはできなかったんだ。
獰猛な竜の犇めく、この世界…
少しでも弱みを見せたら、喰われる
抵抗もできないガキの頃の傷を、なんで今ひっかくことができるか。
そこから血が流れ出るのを、止められないのに…
”なんで、ガキが大人の犠牲にならなきゃいけねえんだろうな…”
あれは…二宮のことだけじゃない…
松本や相葉…そして俺…
それから、おまえのことだったんだ