第22章 folder.6
「嘘だろ…」
「俺だってっ…嘘だと思いたいっ…」
叔父貴に手を出されてたっていうのか…智…
「でも…はっきりと証拠のあることじゃない…だから、これはあくまでも憶測で…」
「いや…」
時々、魘されてる智から出る言葉…
”俺は男だっ…”
そしていつも智の様子がおかしくなるとき…
その時に、矢崎の叔父貴はいなかったか?
いた…
いたんだあいつは…
「おまえの憶測は…多分、合ってる…」
「翔さん…」
こんなこと二宮に伝えてどうする…
だけど、俺には一人で抱えきれなかった。
智の隠していたでっかい闇を…
智の言えない真っ黒な過去を…
「翔さん…俺…あいつバラします」
「え…?」
「あいつが居る限り、ボンはきっと過去のこと思い出して苦しんでるはずだ」
「二宮…」
「ボンは俺のこと救ってくれた…だから、俺…」
「俺がやる」
目の前のぬるくなったビールジョッキを掴んで飲み干した。
「俺が、やる」
「翔さん…でもっ…」
同じ身内同士での殺し…もし露見した時どうなるか…
そんなことわかりきってる。
同じように殺される
「智は…俺のもんだ」
「翔さんっ…」
「俺が、やる…」
目の前が真っ白で…なんにも見えない