第22章 folder.6
それから一月ほどは何事もなく過ぎた。
ボンは多少不安定ではあったが、すぐにいつも通りに戻ったし…
「あの赤坂ってやつとはコンタクト取ってんのか?」
大野のパソコン部屋で仕事をしてると、ボンがやってきて進捗を確認していく。
「ええ…もうそろそろ資金を増やしてやろうかなと思ってます」
「そっか…俺も行ってツラ拝んでくるかな…」
「ああ…部下が多いほうが向こうも安心するでしょうから、そりゃ構いませんがね…」
「…俺が翔の部下の役、やんの?」
「嫌なの?」
「んー…なんか嫌だな…」
「オイ…だってこんな茶髪の上司いないですよ…」
「あ?それもそーか…」
ぐしゃっと長い前髪をかきあげると、にっこりと俺に笑いかけてきた。
「じゃあ、短くすっかな…」
その日のうちに、ボンの髪は短くなった。
「…随分思い切って切りましたね…」
相葉が呆れてコーヒーを出してきた。
アトリエには秋の爽やかな風が吹き込んできてる。
「スッキリしていいだろ?」
「板前みてぇ…」
「ああ!?」
苦笑いしながら聞いていた俺をボンは見上げた。
「…似合わない…?」
ちょ、ヤメロ…
そんな顔して見上げるんじゃねえよ…