第22章 folder.6
「今でもやってんのかはわからんけどな…その児童養護施設の職員ってやつんとこ当たってくれねえか?」
「…ふうん…」
二宮はその名前をみて、黙り込んだ。
「なんだ?」
「いえ…俺も養護施設にいたんで…ここの名前聞いたことあるんですがね…」
ぱらりと調査書を閉じると、俺の目をじっと見た。
「ここに行くと、若くてかわいい男は居なくなるって聞きました」
「は…?」
「正確には小学生…とか?」
「…どういうことなんだよ」
「わかりません…当時はそんな噂が流れてただけだし、興味もなかったから…俺はもう中学生になっていたし…」
ただ、養親が見つかって引き取られるという意味ではなかったそうだ。
「これを調べて一体なにがあるんですか…?」
「いや…わからない…でも、必要なことなんだ」
ひっかかる…
矢崎の叔父貴の名前を聞いて青ざめた松本…
あの後、暫く松本は智の元から離れなかった。
「根っこを教えて貰えませんか」
「…ボンだ」
二宮は目を大きく見開くと、調査書を握りしめた。
「何か…あるんですか…」
「まだわからない…おまえが掴んでくるもの次第ってとこだな」
そう言うと、二宮は頷いた。
「それなら、すぐ調べます」