第22章 folder.6
「相葉、ちっと顔貸せ」
荒んだまま、夕方大野の家に来た相葉を捕まえた。
「は?え?」
俺の雰囲気にびびったのか、相葉は腰が引けたまま着いてきた。
引きずり込むように俺の部屋に入れると、増々びびってるようだった。
「今日おまえ、ずっとボンについてたんだろ?」
「ああ…ええ…」
「なんかあったのか?」
「なんかって?」
「ボンの様子がおかしい」
「えー…?今日は事務所行って…ああ、なんか矢崎の叔父貴と話してたけど…」
「矢崎さん?」
「なんか、松本が使ってるロシア女がどうとか…」
そんな話ししてなかった…ビザの問題でもあったんだろうか。
「ほかは?」
「いいえ…ちょうど組長が出かけてたんで、長部屋で長いこと話し込んでましたから、それだけでしたけど…」
「そうか…」
いくら聞いてもなにもわからなかった。
不思議がる相葉に、ボンから目を離さないよう言って、パソコン部屋へ向かった。
途中、リビングを覗くと松本が来ていた。
「なんだおまえ。赤坂はどうした?」
「あ、お疲れ様です。今日はロシア女のところに行くそうです」
「そうか…おまえ、ボンからなんか言われたか?」
「え?」
「いや、ロシア女のこと」