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翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第22章 folder.6


「…なんか、あっさり行きすぎだな…」
「はい…」

大野の家に帰ると、ボンに報告に行った。
アトリエで絵を描いていたボンは、手を止めて話を聞いてくれた。

「松本はそんなに深く懐に潜り込めてるのか…」
「ええ…大した才能ですよ、奴は…」

あの可愛らしい松本をボンにも見せてみたいと思った。
最も、松本を潜入役に指名したのはボンだから、知ってたのかもしれないけど…

「ふうん…じゃあ、その金、増やしといてやれよ」
「ええ。次は一ヶ月後…ちょこっと増やしといてやりますよ」
「ま、程々にな」
「はい」

ここまで来るのに時間を掛けたんだ。
焦る必要はない。

「翔…?」
「はい」

ボンは絵に向き合ったままだ。

「危ないことはするなよ?」
「はい…わかってます…」

これは大野組の関知していないことだ。
俺達だけでやってることだから、何かあったら若頭であるボンが全て被ることになる。

だから、水も漏らさないような体勢でやってるんだ。

それにこれには二宮の復讐も掛かってる。

「智…」

背中を向けたままの肩に手を置いた。
瞬間、びくりと震えた。

「…どうしたんだ?」
「なんでもない」

俺の顔を見ようとしない。

「なんでもないわけないだろ…こっち見ろよ」
「嫌っ…」

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