第22章 folder.6
かき集めた資料と、投資詐欺をやってる叔父貴から貰っておいたニセのパンフレットで、赤坂に説明をすると乗り気になってきた。
よっぽど松本のことを信用してるんだろう。
ロシア女はいい仕事をしているらしい。
「どうです?試しに10万から始めて見られますか?」
「ああ…そんなものでいいのか?」
赤坂は松本の顔を見た。
「櫻井さんはとても腕がいいんですよ。僕もお小遣いを貯めておいた20万を100万にして貰ったことがあります」
「ほう…」
可愛らしく小首をかしげている松本は、とてもヤクザには見えなかった。
いいとこのボンボン大学生であるという触れ込みで潜り込ませてるんだが、完璧にそう見える。
…こいつ、詐欺師の才能あるな…
「元本割れの補填保証のあるものでしたら、損をすることはありません。今、ちょうどおすすめがこちらです…」
パンフレットを差し出しながら説明しようとすると、赤坂はそれを手で遮った。
「いいでしょう。試しに10万を預けます」
そう言うと、財布をカバンから取り出してむき出しで10万を出してきた。
「あ、赤坂さん…ここでそれはまずいよ」
「いいんだ、松本くん。これは俺のポケットマネーだから…」
銀行に記録でも残るとまずいんだろう。
そのまま金を押し付けられた。
「では、領収書を…」