第22章 folder.6
こいつの目的は親に復讐することだ。
誰もなにも言わないが、俺達はそれに加担してることになる。
「…二宮、フライングはごめんだからな?」
「わかってます…俺はもう昔の俺じゃないんで…」
「じゃ、どうすんだよ」
「俺の役目を全うするだけです」
数年前、あの血を吐くような告白をしてから、だいぶコイツは大人になった。
だけど、幼いころに植え付けられたものってのは…
そんな簡単には抜け出せないことは、俺自身がよくわかってる。
「二宮よ…」
「はい」
「いざとなりゃ、俺が盾になってやるからよ…」
「は?」
「親、殴りたくなったら言えや」
「…翔さん…」
立ち止まった背中を押して歩いた。
「…すいません…迷惑は掛けないんで…見届けさせてください…」
「ああ。元々はおまえが掴んできたネタなんだからよ。無下にゃしねえよ」
「ありがとうございます…」
誰も…おまえ自身がする復讐を止めることなんて、本当はできないんだ。
「俺はよ…まだ親の顔面殴れてねえよ…」
「え?」
「なんでもね」
待ち合わせ場所は四谷の駅前にあるルノアールだ。
店内に入ると、ひときわ目立つ顔の濃い二人が居た。