第22章 folder.6
松本には信者として潜り込ませてるが、こんな美味しいネタを掴んだからには…
「よし…じゃあ一気に勝負に出るか」
俺がいうと、ボンはニタリと笑った。
「どうするんだよ、翔」
「俺も潜入しましょう」
松本を経由してなんとか教団中枢に食い込めるだろう。
ここまで敷いてきたレールに乗ればいいだけだ。
「松本、赤坂にコンタクトを取ってくれ」
「どういう名目で」
「俺はそうだな…投資コンサルにでもなるか」
「似合う…」
相葉が呟くと、ボンは笑った。
「面白そうだな…」
「まあ、最初は夢みさせてやりましょうよ。こっちに乗ってきたら…」
全員、俺の顔を見た。
「かっさらってやりましょう」
証券マンみたいなスーツを着込んで、四谷に出向いた。
一緒にいるのは、部下役の二宮だ。
二宮にもスーツを着せた。
「おまえ、似合うな」
「そ、そうですか?俺、こういうの着るの初めてなんで…」
「ちゃんとしてれば新入社員には見えるから、そのまんまでいいぞ」
「はぁい…」
少しだけ緊張した面持ちで、俺の後についてくる。
…あそこには二宮の両親がいるからなあ…
二宮のたっての希望で、俺の部下役にしたけど…
大丈夫かな、と思わないでもない。