第22章 folder.6
「で?」
ボンが机に腰掛けながらパソコンに向かう加藤に目を向けた。
加藤は頷くと、パソコンを立ちあげて教団の資料を画面上に出してボンに見せた。
「俺が懐に入った赤坂というのは、教団のナンバー2です。俺と一緒で顔が濃いから、お使い様のお気に入りだ」
ぶっと相葉が噴き出すのを、松本は怖い顔をして睨みつけたが、相葉はへっちゃらだ。
「で、こいつが無類の女好きでね…」
「ふうん…」
「こいつを懐柔するのに、矢崎の叔父貴からロシア女を都合してもらって宛てがったんですがね、最近その女からの報告で面白いことがわかって…」
「なんだそれは」
俺が聞くとにやりと笑った。
「薬ですよ」
「どんな」
「麻薬…ですね」
「ほう…」
松本によると、お使い様が教祖でいられるのは、なんでも信者に真神様の姿を見せることができるということで…
集団催眠などの類かと思っていたが、そうじゃなかったのか…
「幻覚を麻薬で見せてるってことか…」
「ええ」
ボンは組織図を見ながら何かを考えていた。
「で?幹部はそれを全員知っているのか?」
「…知っていますね…」
「そうか…」
教団ぐるみの、詐欺行為ってことだ。