第22章 folder.6
女、薬、恐喝。
最近じゃこれに、詐欺も加わってる。
これが俺たちヤクザの収入源だ。
ただ、俺たち大野組の属する喜多川一家ではシャブ(合成麻薬)は禁止されてる。
「あ!スケって女のことか…」
松本は普段はクールにしているが、結構天然なところがあってこういうところが兄貴達には可愛がられている。
キレて暴れると、手はつけられないが…
「あんな婆さん嫌ですよ…」
お使い様とやらは、相当年のいったババアだということだ。
「やっとここまできたから、慎重に行くぞ」
ボンの一言で、部屋の空気が引き締まった。
3年の月日が流れて、まだなにもしていないのには訳があった。
それが二宮の掴んできたネタだ。
教団には世間には出せない金がごっそり眠っているのを突き止めたんだ。
俺達は予定を変更して、この金を頂く計画を立てている。
そのとっかかりとして、教団幹部の懐に誰か一人入り込むっていうことが必要だった。
その役目を担ったのは松本だ。
実にこれには時間が掛かった。
二年掛けてやっと幹部の懐に入って、一年掛けてやっと教祖であるお使い様にまでコンタクトを取ることができるようになった。
なにせこの人数でやってることだから、時間がかかってもしょうがないと開き直ってじっくりやっていた。