第4章 傷だらけの翼
組事務所に着くと、城島が出迎えてくれた。
「おう城島、これから長瀬くるから世話してやってな」
「はい…ボン…もしかして…」
「ああ…明日から喜多川に入るから…」
「そんな…急に…」
「親父がな、今日、入院した」
「え…?」
「喜多川を空けるわけにいかねえだろ…」
「ボン…」
城島は唇を噛みしめて俺を見た。
「ボンはまだ…」
「頼んだぞ」
言うと部屋にはいった。
…俺が極道を辞める理由はもうなくなった…
もう極道として死ぬしかないこともわかってる。
「相葉…」
「はい」
「残ってもいいんだぞ?」
「いっ…嫌です!」
「まあ…頼りにしてるけどな…」
「えっ…」
そのびっくり顔が若いころと何にも変わってなくて、俺は思わず笑ってしまった。
相葉に初めて会ったのは、俺が19歳の時だった。
ショバ代を払わない雀荘に取り立てに行った時だった。
組の仕事なんかやりたくなかったけど、その時は絵を描くために親父から給料が欲しくて…
しぶしぶ取り立ての仕事をしてた。
相葉はその雀荘の隅で、数人の男に輪姦されてた。
何やってんだかと思って構わず取り立てをしてたら、男たちは気が済んだのか、相葉から離れていった。