第22章 folder.6
ぎゅっとアスファルトにタバコを押し付けると、渋谷さんは立ち上がった。
「あ、画材な。これ。ボンに渡しといて」
茶色の紙袋に入ったこまごましたものを渡された。
「いつもありがとうございます…」
「なんでおまえが礼言うんや…ん?」
誂うように言われて、思わずほっぺたが赤くなる。
「かわいいやっちゃのう。翔」
「…やめろ…」
かっかっかと笑うと、渋谷さんは背中を向けた。
「あ、翔よ」
「なんですか?」
「手下と言えば、おまえんとこの松本…」
「なんか?」
「新宿にあるヤサの近くによ、大きな宗教団体の施設があるんだけどよ。あいつ、そこに入っていったのをみたんだけどよ…」
「ああ…」
実はオレオレ詐欺は、だいぶ軌道に乗ってきたので今は大学生なんかのバイトたちに任せてきてる。
二宮と相葉と松本には、もう一個…
これはボンと俺達しか知らない、でかい仕事を仕掛けてる。
「大丈夫。奴は神様なんかこれっぽっちも拝んじゃいませんよ」
にたりと笑うと、渋谷さんはすぐに察したようだ。
「ふうん…?なんかやんのか?」
「…まあ、見ててくださいよ…」
「へえ。そら楽しみやわ…」