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翼をもがれた竜【気象系BL小説】

第21章 folder.5


着付けが終わる頃には、5歳くらい老けた気がした。
ふすまを開けて外に出ると、ボンが俺を見上げた。
少し、眩しそうに目を細めた。

「似合うな…」
「ありがとうございます…」

紋付と袴は、この度組長が新しく作ってくれた。

「親父に礼、言ってこいよ」
「はい。じゃあお先に…」
「ああ…」

ボンが席を立つ背中にぼそっと呟いた。

「ふんどし…」

ぶふぉっとボンは笑いながら奥の座敷に消えていった。

松岡の叔父貴は俺を見ると、手を差し出してきた。

「櫻井、だっけか。株の事詳しいんだってな。今度、俺の組にも教えてやってくれや」
「えっ…」
「よろしくな」

強引に握手されて、ひたすら恐縮するしかなかった。
松岡の叔父貴は今日の盃式の立会人になると言うことだった。

姐さんの部屋を出ると、松本が待っていた。

「広間で皆様控えてますんで、翔さんも…」
「ああ。組長も居るか?」
「そのはずです」

盃式をやる座敷はまだ開いていない。
その前を通り過ぎて、控えの座敷に向かった。

入り口で相葉が俺を見てにやっと笑った。
そのまま頭をぴょこんと下げると障子を開けてくれた。

廊下に正座して、手をついて中に挨拶をした。

「櫻井、参りました」
「おお、入れや」

座敷のすぐ障子側には客分の叔父貴たちが座っていた。

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